第214章 私はあなたを守れなかった

星野寒は薄い唇を引き締め、少し頑固になって、初陽の拒否を許さず、強引に彼女の固く握った指を開いた。

「たった10分だけでいい、逃げないでくれ。手のひらの傷をちゃんと見せてくれないか?10分経ったら、君を行かせる。どこへ行ってもいい、もう縛らない……」

彼は彼女を見つめ、特徴的な二重瞳が揺らめいた。

その瞳には、深い痛みと熱が満ちており、初陽の手のひらの痛みをさらに強めた。

初陽の心の中で何かが、少しずつひび割れ崩れていくようだった。

ぼんやりとした意識の中で、彼は彼女の手のひらを広げた。

手のひらは血まみれで、傷口には小さなガラスの破片が埋まっていた。それらのガラスは肉に挟まれ、寒の息を止め、彼の顔は一瞬で青ざめた。

さっきまで初陽は両手を強く握っていたため、それらの破片がまた肉を切り裂き、血が流れ出ていた。

この鮮やかな赤い血が寒の目を痛めつけ、彼は視界が霞み、呼吸も徐々に荒くなるのを感じた。

「俺が悪かった、俺が君を守れなかった、結局君を傷つけて、血を流させてしまった……」寒は口の中が苦く、嗄れた声で呟いた。

寒の体はすでに限界を超えており、ただ一息で今を支えている状態で、まさに弓の弦が切れそうな状態だった。

彼の体はあちこち痛んでいたが、体の痛みが心の痛みに勝てるだろうか?

人を傷つける最も痛いものは刃物で体を傷つけることではなく、目に見えない刃が静かに心に刺さることだと、彼は初めて知った。

目に見えない刃、鋭い刃先を持ち、その刃先が彼の心を軽く浅く抉っていく、一度また一度。

血は流れず、傷も見えないが、まるで彼の残りの命の半分を奪ったかのようだった。

村田城は傍らに静かに立ち、寒の指示を待たずに急いで医療器具を取り出し、初陽の手のひらの傷の処置を始めた。

傷を包帯で巻き、初陽の体温を測ると、わずかに微熱があった。

城は解熱剤と水を一杯持って初陽に渡し、初陽は少しも抵抗せず、おとなしく薬を飲んだ。

その時、寒はすでに初陽の手を離し、少し力なく寝台に寄りかかっていた。まぶたは重く感じていたが、視線は少しも動かさず、城が初陽の傷を包帯で巻くのを自ら見守っていた。

初陽が薬を飲み終えた瞬間、寒の目の前が暗くなり、額の汗が制御できずに流れ落ちた。

彼の体温は、冷たくなったり熱くなったりを繰り返していた。