第201章 私はまるで悪魔に心を奪われたよう

初陽は知っていた。爆弾から逃れることができたとしても、彼が無傷であるはずがない。そして、その傷は必ず重いものだろう。

そうでなければ、なぜ彼は目覚めないのか、なぜ彼の体温はどんどん冷たくなっていくのか？

彼を恨むべきだった、彼に死んでほしいと思うべきだった。

死ぬにしても、なぜ彼女の目の前で死ぬのか、なぜ彼女に知らせ、彼の死を目の当たりにさせるのか？

心が一気に裂け、鋭い刃物で少しずつ彼女の心をえぐられているようだった。

痛みは、前世で心臓を移植した時よりも激しかった。

初陽は唇を強く噛み、歯を食いしばって彼の腕から逃れようとした。

しかし、彼の腕は銅壁鉄壁のように、まるで硬直したかのように、どれだけ押しても彼の抱擁から逃れることはできなかった。

初陽は悲しみがこみ上げてきた。彼のこの行為は一体何なのか、結局何なのか。

拳を握りしめ、彼の胸を強く叩きながら、叫び、罵った。

「離して、このバカ！死んでも私を離さないつもり？命もないのに、まだ私を守って何になるの？虚ろな魂で、まだ私に心臓を秋山伊人にあげろって言うつもり？あなたはそれほど彼女を愛して、何もかも彼女のために捧げるの？これだけの年月、私はあなたの目にはいったい何だったの？何だったのよ……」

空気の中には、絶望と呼ばれる味が漂っていた。

初陽は動きを止め、夜空を見上げて大声で笑い始めた。

「なぜ車の中で死ななかったの？なぜ爆弾で死ななかったの？なぜ水の中で死ななかったの？なぜわざわざ私を抱きしめて、私のそばで、私の目の前で死のうとするの？なぜ私を救うの？自分のことしか考えず、何度もあなたを置いて逃げた私なんて、あなたが命を懸けて救う価値なんてないのに、なぜ何度も命がけで救ってくれるの？もし本当に私の心臓のためなら、そんな代償、あなたの命という代償は、大きすぎると思わない？」