若帝はまだ何かご用でしょうか？

宵月司星は目を伏せた。

木村伊夜の身に着けたベアトップのドレスは、彼女の美しいボディラインを余すところなく強調していた。

男性の視点から見下ろせば、谷間は非常に深かった。

彼女は男性の最も敏感な部位に触れており、ティッシュと布地を隔てていても、彼の体の火を点火していた。

「お前は何者だ？」司星は突然伊夜の顎を掴み、彼女の顔を上げさせた。

伊夜は目線をわずかに逸らした。

しかし彼女はすぐに、逃げることこそが正体を露呈させる近道だと気づいた。

そこで、彼女は堂々と男性を見つめ、「専属歌手です」と答えた。

「それだけか？」司星はさらに力を込めた。

彼は細長い鳳凰のような目を細め、上がった目尻はさらに妖艶に見え、目の前の女性を審査するように見つめた。

三ヶ月分の給料を前借りして、三百万円を手に入れた。

それなのに彼女はまだ自分の体を売り、このようなバーでアルバイトをして専属歌手をする必要があるのか？

「私は体を売りません」伊夜は少し怒った。

彼女は手のティッシュを捨て、顔を上げて男性を睨みつけた。美しい瞳には強情さと不屈の精神が満ちていた。

「ふん……」司星は冷笑した。

彼の薄い唇が非常に皮肉な弧を描いた。おそらく酒のせいで、唇は妖艶な赤さを帯びていた。

司星は突然身を乗り出し、唇を伊夜の耳元に寄せ、魅惑的に息を吹きかけた。

「誰も、自分が体を売っていると認めたりしない」

話しながら、冷たい唇が彼女の耳たぶに軽く触れた。それはキスのようでもあり、また偶然の接触のようでもあった。

伊夜の心が一瞬震えた。

彼女はすぐに司星の大きな手から逃れ、自分の顎を解放し、目を伏せて顔の半分を隠した。

「若帝、もし他にご用がなければ、私は先に行かせていただきます。外にはまだ仕事が待っていますので」

言葉が落ちると、伊夜は振り返って歩き出そうとした。

司星は指先でその濡れた部分を撫で、軽く二回拭いながら、唇を曲げて言った。「私が行っていいと言ったか？」

伊夜は下唇を噛んだ。

彼女は心の中で男性の図々しさに文句を言いながらも、怒りを飲み込んで振り返り、「若帝、他に何かご用でしょうか？」と尋ねた。

「ズボンが濡れた」司星は美しく妖艶に笑った。「ほら、脱がせてくれ」

伊夜は「……」と言葉を失った。