木村伊夜は入浴を終え、カジュアルな服装に着替えた。
純白のシフォンはシンプルで上品で、デニムブルーのスカートパンツは若々しさに溢れ、白いスニーカーは清純な少女の雰囲気を存分に引き立てていた。
宵月司星:「……」
漆黒の瞳を少し細め、「ダサい」
明らかに小悪魔なのに、あえて清純な少女のように装っている。
あの桃花のような瞳はますます魅惑的になっているのに、彼女のこの装いには不思議と違和感がなかった。
伊夜が美しくなったことに、彼はとうに気づいていた。
ただ彼女を褒めたくなかっただけだ。調子に乗るのが怖かった、それだけのこと。
「これに着替えろ」司星はドア枠に慵懶と寄りかかり、指一本で紙袋を引っ掛けて彼女に渡した。
伊夜は不思議そうに司星を見つめた。
彼女は紙袋を受け取り、服のデザインを確認しようとしたが、中には箱が入っていることに気づいた。
「俺の時間を無駄にするな」司星は薄い唇を引き締めた。
伊夜は頷き、紙袋を持って部屋に戻り、すぐに着替えて出てきた。
ドアが開く音がした。
司星は無造作に体を起こし、何気なく伊夜の方を見た。
しかしその瞬間、彼はハッとした。
シルバーグレーのショートイブニングドレスが伊夜の魅惑的な体のラインを際立たせ、オフショルダーデザインが色っぽい鎖骨と白い肌を強調し、手作業による複雑で精巧な刺繍が上品さと魅惑を両立させていた。
彼女は、まるで魔法を持つ妖精のようだった。
「ふん……」司星は冷笑し、手を伸ばして伊夜の顎を持ち上げ、薄い唇を開いた。「小悪魔め」
伊夜:「……」
「どこに連れて行くの?」彼女は潤んだ桃花のような瞳を上げ、司星を見つめた。
「骨董品のオークションだ。女性の同伴者が必要でな、お前はまあまあだから、なんとか許容範囲だ」司星は傲慢に言った。
実際は、女性の同伴者が必須という条件はなかった。
ただ彼は伊夜が毎日薔薇園で退屈しているのではないかと心配し、彼女を外に連れ出したかっただけだった。
「おとなしくしているわ」伊夜は微笑んだ。
しかし司星はその笑みを見て、彼女がまた何か企んでいるような予感がした。
マイバッハが公道を疾走する。
伊夜は密かに何かを計画しており、ふと狡猾な笑みを浮かべた。