こんな状態なのに、まだ大丈夫だって?

木村伊夜は熱を出し始めた。

おそらく最近の授業スケジュールが詰まりすぎていて、頻繁なリハーサルと補習授業で過労気味になっていたのだろう。

「うぅ……」少女が小さく呻いた。

彼女はベッドに丸くなり、ぼんやりと目を開けて、腕の間に挟んでいた体温計を取り出した。重たい瞼を持ち上げ、体温を確認するために近づけてみる。

37.9℃、まだそれほど深刻ではない。

木村伊夜は深く息を吸い込み、ベッドから這い出して、無理をしてでも朝食を食べて学校に行く準備をした。

薔薇園に留まるわけにはいかなかった。身体検査をされてしまうから。

「木村さん、起きましたか」山崎執事は彼女が階段を降りてくるのを見て、すぐに使用人に朝食を温め直すよう指示した。

彼は笑いながら言った。「もう少しで遅刻するところでしたよ。メイドを送って起こそうと思っていたのですが、若様があなたにもう少し休むように言われて、学校にも休みの連絡を入れました。朝食はゆっくり召し上がってください」

それを聞いて、伊夜はうなずいた。

彼女はゆっくりとダイニングテーブルに向かったが、胸が詰まる感じがして、頭も重く、全身に鉛が入ったかのように、足を動かして歩くことさえ難しかった。

「具合が悪いのか?」

宵月司星は一目見て何かがおかしいと気づき、眉をきつく寄せて伊夜を観察した。

少女は首を振った。「大丈夫です、ただ眠いだけ」

言い終わると、彼女は手を上げて眠そうな目をこすり、もう片方の手で椅子を引こうとした。

力を入れた瞬間、伊夜の手足がふらつき、彼女は不意につまずいて、気を失いそうになった。

「こんな状態で大丈夫なわけがないだろう」

司星は素早く立ち上がり、伊夜のそばに駆け寄って彼女を腕に抱き寄せ、手を伸ばして彼女の額の温度を確かめた。

少女は後ろに身を引いて避けようとしたが、彼は彼女の後頭部を押さえ、額に触れた。確かに熱かった。

「山崎執事、彼女は今週は学校に行かなくていい」

司星は目を冷たく細め、横を向いて命じた。

山崎執事は軽くうなずいた。「かしこまりました、若様」

彼は振り返り、すぐに皇家芸術学院に連絡して、木村伊夜の一週間の休暇を承認してもらい、補習授業もリハーサルも全て免除してもらった。

「司星、本当に大丈夫なんです……」