杉本裕子と北村美晴は二人とも得意な曲を引き当て、デュエットの対決の後、当然のことながら残ることができた。
「第二ラウンドでは、各出場者が3曲のセットを引き、その中から最も得意な1曲を選んで歌っていただきます。審査員と観客の皆さんの投票で勝ち残りが決まります」
司会者の言葉が終わると、次のラウンドに進んだ10人の出場者がステージに呼ばれ、歌う曲を抽選した。
裕子が引いた曲のセットの中には、ちょうど歌姫星夏が今年最優秀楽曲賞を受賞した曲が含まれていた。
「私は星夏女神の『芝居』を選びます」
裕子が手に持ったカードを掲げ、自分の決断を発表すると、観客席からどよめきが起こった。
星夏の歌唱スタイルは成熟して魅惑的で、声は心地よく、甘えた感じと執着心が入り混じっており、裕子のスタイルとは全く異なっていた。これは明らかに大きな挑戦であり、加点ポイントになるだろう。
「星夏先輩、よろしいですか?」杉本唯奈は胸の前で腕を組み、ソファに寄りかかりながら、妖艶な声で尋ねた。
木村凪咲は軽く笑って、「もちろんよ」と答えた。
唯奈は何も言わなかった。彼女はステージで輝いている裕子を見つめ、瞳の奥に冷たい光が走った。
彼女は、自分がプレゼントした衣装を着ていなかった。
「私も星夏女神の『芝居』を選びます」
ちょうどその時、北村美晴が抽選を終え、手にしたカードを掲げ、自信を持って高慢に宣言した。
言葉が終わると、彼女は横目で裕子を一瞥した。
「これは偶然ですね。同じ曲を選ぶと、通常50%の脱落率に直面することになりますよ。お二人とも本当によろしいですか?」と司会者が言った。
美晴と裕子は視線を交わした。
裕子はピンク色の唇を少し尖らせ、まるで意地を張るかのように、司会者の質問に先に答えた。「はい、確かです」
「私も確かです」美晴は少しあごを上げた。
司会者はうなずき、すぐに集めた10枚のカードをサイドステージのステージマネージャーの助手に渡し、音響チームにこの10曲の伴奏を準備するよう指示した。
演奏順序は前回の投票データに基づいていた。
美晴は非常に高い人気を持っていたため、1位にランクされ、裕子は暫定2位だった。
同じ2曲が、ちょうど続けて歌われることになった。
「ちっ、分不相応ね」
川崎凛香はちょうど木村伊夜の後ろに座っていた。