彼は結局、無条件で彼女を信じた

入札会場。

宵月司星はスーツを着こなし、安定した足取りで会場内に歩いてきた。彼の黒い瞳は深く、まるで底知れぬ深淵のように、人を見通すことができなかった。

男は剣のような眉と星のような目を持ち、全身から冷たい気場を放っていた。それは座席にいる人々を感嘆させ、さらには三歩下がって、天下を手中に収める若帝に近づく勇気を失わせた。

彼の側にいる工藤朔空でさえ、珍しく真面目な様子だった。

「若帝がいらっしゃいました」入札側の社長が自ら出迎え、吉岡智久はゆっくりと立ち上がり、媚びるような笑みを浮かべながら司星を見つめ、自らVIP席へと案内した。「若帝、どうぞお座りください」

司星の瞳が微かに動いた。

彼は軽く頷き、顎を上げて歩いていき、高貴で優雅に座った。「吉岡社長、お気遣いありがとう」

吉岡は笑いながら、自分の席に戻った。

「ちっ…」

しかしその時、会場内から嘲笑の声が聞こえてきた。繁星映画のマネージャー田村木騰はビール腹を突き出し、皮の椅子に仰向けに寝そべり、白目をむいた。

「本当に自信があるんだな…」木騰は司星を軽蔑の目で見つめ、眉や目には軽蔑と不満が満ちていた。

彼はこの入札を必ず勝ち取るつもりのようだった。

吉岡は木騰の司星に対する態度に気づき、内心不安になったが、繁星映画の田中祐介もまた手を出せない人物だということを知っていた。

そこで彼は気まずく笑いながら、「あの…皆さんお揃いですので、正式に始めましょうか」

司星は首を微かに動かした。

彼は淡々とした目で木騰を一瞥し、目を少し伏せ、指で椅子の肘掛けを軽くたたいた。「いいでしょう」

繁星映画は、何を根拠にそんなに自信満々なのか？

吉岡のアシスタントが、整理された数枚の入札書を彼に渡し、整然と並べた。

吉岡は司星に視線を向けた。「若帝はこの入札について意見があるとか…」

もし彼が交渉を提案していなければ、今日は入札結果を発表するだけで、その後契約の詳細を話し合うだけだった。

入札の勝者は、当然司星に違いなかった。

朔空は突然立ち上がった。「意見どころか、非常に…」

「意見はない」司星は突然朔空の言葉を遮り、指も肘掛けをたたくのをやめた。

朔空は驚いて司星を見つめ、この男が何を考えているのか一瞬理解できなかった。

どうして意見がないわけがあるだろう？