最後の願い、彼と結婚する

宵月司星の足音が遠ざかるのを聞いて、木村伊夜はまた布団から這い出してきた。

彼女はベッドに半身を預け、ベッドサイドの小さな引き出しに入れておいた小さなノートを取り出し、しおりが挟まれたページを開いた。映画を観ることとアイスクリームを食べることの二項目にチェックマークを付けた……

少女は小さなノートを手に、そこに残された願い事を見つめながら、首を少し傾げた。「少しずつ叶っていくのかな?」

彼女の瞳は徐々に下へと移動した。

最後の一行には……宵月司星と結婚する、と書かれていた。

伊夜はペンを握り、ペン先を「結婚」という文字の前に当て、右に線を引こうとする動きを見せたが、結局実行できなかった。

彼女はペンの下部をこすりながら、少し力を入れた。

この非現実的な願望を削除しようと自分を強制しているようだったが、どうしても忍びなかった。

「おやすみ、司星」

結局、少女は願い事ノートを手に取り、自分の字を、その名前に口づけをした。

彼女は再びノートをしまい、身支度を整えた後、男性のいない布団に戻り、夢の世界へと入っていった……

ただ、翌朝、彼女は見慣れた腕の中で目を覚ました。「うーん、司星……」

司星は夜中に彼女のベッドに忍び込んでいたのだ。

彼は長い腕で伊夜を抱き寄せ、熱い肌を彼女にぴったりと押し付け、温もりを伝えていた。

「あなたを紳士だと思っていたのに、こっそり私のベッドに潜り込むなんて……」伊夜は小さな声で甘えるように言った。

彼女はまだ完全に目覚めておらず、彼の胸に身を寄せてすり寄り、柔らかい髪が彼の肌をくすぐり、しびれるような感覚を引き起こした。

「抗議するなら、下りるよ」

司星は低く笑いながら、ますます身を寄せてくる少女を見下ろし、意地悪く眉を上げた。

「だめ」伊夜はすぐに男性の腕にしがみつき、さらに彼の方へ体を寄せ、もっと密着した。

司星は思わず笑みを漏らした。

彼は大きな手で伊夜の頭を撫でながら、「今日は何か小さな願い事でもある?ん?」

少女はぼんやりと首を振った。

今は眠りたいだけで、他のことは考えたくもなかった。

「ピンポーン」

しかしそのとき、突然携帯の着信音が鳴り響いた。

伊夜はもう一度甘えた声を出し、体を反転させて怠そうに携帯を手に取り、まぶたを持ち上げてちらりと画面を見た。