木村さん、また旦那さんを探しに来たの?

ゼロ度バー。

木村伊夜は薔薇園で待ちきれなくなり、先にここへ来て、宵月司星が彼女を探しに来るのを待つことにした。

彼女はクールな女王のような装いをしていた。

白いボディスーツが曲線美のある体にぴったりと合い、黒いレザージャケットの裾は腰のあたりで止まり、さらに細い腰を強調していた。黒いハイウエストのレザーパンツとマーチンブーツが見事に調和し、長い脚がより一層目を引いた。

「木村さん、また旦那様を探しに来たの?」

秋山君は伊夜がバーに入ってくるのを見て、唇の端に冗談めいた笑みを浮かべながら茶化した。

伊夜は彼を横目で見て、「違うわ」と言った。

今回は、彼女はゼロ度で彼氏が彼女を探しに来るのを待っていたのだ。

「いつもそんな風に呼ばないで。まだ彼と結婚すると約束したわけじゃないんだから」彼女は赤い唇を軽く上げ、明るく笑った。

秋山君は一瞬固まり、少し驚いた様子で「約束してないの?」

確かに菅原様が自分に言ったのは、木村伊夜は宵月奥様だということだったのに...つまり若帝が強引に彼女を手に入れたということか?

「どうしたの?」伊夜は不思議そうに尋ねた。

彼女は確かに司星と結婚することを明確に約束したことはなく、まだ夫婦と呼べるような関係でもない、結婚もしていないし...

「何でもないよ、何でも」秋山君は急いで首を振った。彼はにやにや笑いながら言った。「木村さん、またミルクリキュールを試してみる?」

彼はミルクリキュールがあんなに美味しいのに、伊夜が前回飲んだ後、もう一度欲しくならないはずがないと思った。

「飲まないわ」伊夜は彼を横目で見て、「秋山社長、前回あなたが私にお酒を無理やり飲ませたこと、まだ清算してないわよ」

秋山君はそれを聞いて苦笑いを浮かべた。

「ただ牛乳をミルクリキュールにこっそり替えただけじゃないか!どうして無理やり飲ませたことになるんだ?」

「せめてこのお酒はおごり...」秋山君はグラスを伊夜の前に押し出し、言葉を半分しか言わないうちに、まるで幽霊でも見たかのように急に止まった。

彼は素早くグラスを引き戻した。「あはははは!突然思ったんだけど、お酒って、やっぱり少なめに飲んだ方が...」

秋山君は慌ててグラスを隠した。