出て行くのはどっちだ

「私を黙らせても無駄よ。世界中に知り渡ってるんだ、この馬鹿者」聞冬は宮を嘲笑うように言った。

「落ち着け、聞冬、君を殺すのは私の意思ではない。それは…」宮匯山は誰が聞冬を殺すように命じたのかを言い終える前に、聞冬は銃を撃った。

「知る必要はない」聞冬はいつも通りの表情に戻り、一発で宮匯山を射殺した。

葉黙は聞冬に自分の正体を聞かれると思ったが、たとえ彼女が尋ねても答えるつもりはなかった。彼がここに来たのは五万元のためだけだった。ただ、その程度の金額でこれほど苦労するとは思わなかった。彼が慎重じゃなかったら、本当にここで命を落としていたかもしれない。

しかしその予想に反して、聞冬は何も尋ねず、葉黙にこう言った。「行きましょう。さっき殺した二人は門番のはずだから。ここにはもう誰もいないと思う。爆弾を仕掛けてここを消すとしよう」

葉黙は心の中で「爆弾なんてどこにあるんだ？」と思った。

しかし、その疑問を口にする前に、聞冬は腰から爆弾の束を取り出した。彼女は本当に爆弾を持っていた。しかも腰に巻き付けていたのだ。要するに、先ほどのタイマーも本物だった。この女はまさに狂人だ。もし彼女が最期で爆弾を起爆させたら、自分は…

葉黙は心中穏やかではなかったが、何も言わなかった。危険な場面は数多く見てきたので、これも経験のうちに入るだけだ。

車を出して二十分後、あの轟音は葉黙の耳にまで届いた。

「貴林に行くのに、なぜ飛行機を使わないの？」聞冬は長い沈黙の後に尋ねた。彼女は今や葉黙が並の人間ではないことを知っている。これは最初から最後まで葉黙が冷静さを保っていた理由を説明した。今、葉黙が黙っているのは、彼が不快に感じているからだと彼女は理解している。それに、葉黙がいなかったら、今日は彼らと運命を共にするしかなく、生き残ることはできなかっただろう。

彼女は死を恐れてはいなかったが、死んでしまえばこのお金を有効に使うことができなくなる。それがとても悔しい。口には出さなかったが、心の中では葉黙に非常に感謝している。

「身分証がないから」葉黙は簡潔に答えた。身分証明書がないだけでなく、たとえ持っていたとしても、使う度胸はなかっただろう。