必殺の一手

「ふふ、焦ることはない。聞さん、まずは品物を確認してから取引の話をしましょう。異論はないでしょう」宮と自称した男がゆっくりと提案した。

「いいですけど……」聞冬がそう言うと、表情を変え、葉黙に向かって言った。「箱を開けて、中身を宮先生に見せてあげて」

葉黙は聞冬の表情が変わったことに気付いた。彼女も周囲に潜んでいる者に気付いたようだ。どうやって気付けたのかは分からないが、彼女も気付いたということは、それなりの対策があるのだろう。ただ、彼女が気付いたのは、ドアの後ろに隠れている者なのか、それとも屏風の中に隠れている者なのか分からなかった。

「聞さん、そちらの実力は存じております。ははは、どんなに腕が立っても、その箱を開けて、中の銃を組み立てるのに十数秒はかかるでしょう。その間に、私はあなたを何度も殺せます。だから皆さん、冷静に行動していただきたい」宮先生はそう言うと座り込み、嘲るように聞冬を見つめた。

葉黙も少し驚いた。聞冬がどこからの自信で、この宮という男と取引をしようとしているのか分からなかった。これは虎穴に入るようなものではないか。

「それはどういう意味ですか?そもそも宮先生、部下をドアの後ろに隠し、銃を構えさせているのは、どういうつもりですか?まさか宮先生は最初から、道義に反することを企んでいましたか?」聞冬は全く動揺せずに言った。まるで自分とは無関係な事を話しているかのように。

「ハハハ……」宮氏の男は拍手して言った。「聞さんは相変わらず優秀ですね。ただ、今時の世の中では、道義など二束三文ですよ。入りたまえ」

宮という男の声を聞くと、ドアの後ろにいた二人の銃を持った男が入ってきて、聞冬と葉黙に銃を向けた。葉黙の予想に反して、宮の後ろにいた四人も銃を持っていたものの、構えはしなかった。

葉黙はようやく理解した。聞冬はドアの所にいた二人に気付いていたが、左右の屏風の中に隠れた者には気付いていなかったのだ。葉黙は二人の指が動いた瞬間、避けられるように、神識でドアの所にいた二人の指に注目した。今の自分が銃弾を避けられるかどうかまだ確信は持ていない。練気三層に達していない今の状態では、かなり危険だろう。