生意気

「その、師先輩……」方尉成は適切な呼び方が見つからず、業界特有の呼び方を使うしかなかった。

しかしその言葉を口にした瞬間、葉黙に遮られた。「方さん、普通の呼び方で呼んでくれればいい。俺は別に先輩でもないから」

方尉成は葉黙が拒否しているのを見て、その言葉に賛同した。「そうですか、では遠慮なく呼びますね。師影さん、今回は助けを求めに来ました。なかなか再会できなかったので、今日は二度目の出会いになりますね。なのにこんな話をするのは、本当に失礼だと思いますが……」

葉黙は眉をひそめた。心の中で、失礼だと自覚しているのか、言わなくとも分かる話だろうと思った。彼と方尉成は面識もないし、正確に言えば二回しか会ったことのない赤の他人だ。見知らぬ人がいきなり助けを求めてきたら、葉黙が不快を感じるのも無理のないことだ。

葉黙の表情を見て、方尉成はさらに躊躇せずに直接言った。「私は運転手だとご存知でしょう。私の雇い主の息子は大学生ですが、気前が良く、私とも仲が良いんです。彼は寧海科技大学の四年生で、学内武術協会の会長でもあります。しかし一か月前、武術の試合で重傷を負って、今も入院中なんです」

葉黙は方尉成の話を遮った。「ようは、俺に仕返しをしてほしいということか?」

方尉成が頷いて続けようとしたが、再び葉黙に遮られた。「そんなくだらないことはしないぞ。その話はここまでにしよう。二度と持ち出さないでくれ」

方尉成は少し苦々しい表情を浮かべ、躊躇した後やはり口を開いた。「影さん、私の話を最後まで聞いてください。それでもご興味がなければ、無理は言いません」方尉成は焦るあまり、呼び方も影さんに変えていた。

葉黙は仕方なく頷いた。「いいだろう。手短に言って。夜は用事があるので」

「私の雇い主も軍人出身なので、彼の息子は武術が好きなんです。それ自体は何の問題もありません。ただ一か月前、チョンが科学大学の近くに『韓風』テコンドー館を開きました。まあ、寧海にはテコンドー館がたくさんありますし、それも普通のことです。でもあのチョンが開いたテコンドー館には『天下武術、韓國より源を発す。世界拳術、テコンドー第一』といった文字が書かれていてね。