玄月宮の規定によると、玄月宮の神女が産んだ子供は神子となるため、路辰は玄月宮の神子である。
そう考えると、夏帝の表情が曇った。
今となっては、路辰を北郡に封じたことを少し後悔していた。
これは非常に不安定な要素であり、大夏領內の宗門に関わることだからだ。
玄月宮が北王様を利用して都に対抗してくる可能性が高い。
そして今、玄月宮は陳国の餘孽と結託している疑いがあり、彼らが何をたくらんでいるかわからない。
そう考えて、夏帝は冷笑いを浮かべながら言った。「名門の件もまだ解決していないのに、今度は宗門が出てきたか。まったく一日も安らかな日がないものだ」
その言葉を聞いて、司徒策は言った。「陛下が北王様と玄月宮の結託を懸念されているのでしたら、影衛を側に置いて監視させてはいかがでしょうか?」
司徒策の提案を聞いて、夏帝は暫く考え込んだ。「確かに誰かに見張らせるべきだな」
そう言うと、夏帝は後ろに向かって言った。「白隊長、この件は君に任せよう。直接北郡に行ってくれ。どの宗師が九ちゃんにそれほど親切で、常に側で守っているのか、朕も見てみたいものだ」
この時、夏帝の後ろには誰もいないように見えたが、夏帝の言葉が終わると同時に、白い衣装を着た女性の姿がゆっくりと現れた。
女性は優美な体つきで、曲線美に富み、表情は冷たく、無表情だった。
彼女は礼をして言った。「はい、陛下」
夏帝は続けて言った。「よろしい、下がってよい」
「承知いたしました」
女性の言葉が終わると同時に、その姿は再び消え去り、まるで姿を消したかのようだった。
夏帝が影衛の副隊長を直接北郡に派遣するのを見て、司徒策は少し驚き、そして尋ねた。「陛下、白隊長を北郡に派遣して調査させるのは、少し大げさではないでしょうか?」
夏帝は淡々と言った。「玄月宮に関することは、すべて小事ではない」
夏帝がそこまで言うのを聞いて、司徒策はもう口を開かなかった。彼は夏帝が玄月宮を非常に警戒していることをよく知っていた。これは楚月と大きな関係があった。
この時、司徒策は尋ねた。「陛下、穆長天はこの数日のうちに都を離れるのでしょうか?」
司徒策が穆長天のことを持ち出すと、夏帝の表情が一変し、非常に陰鬱になった。
「どうした?國師は穆長天のために情けをかけようというのか?」