第51章 路辰にはもう一つの特別な身分がある

穆紫萱の提案を聞いて、路辰は目を輝かせた。この方法は実行可能だと思った。

当初、彼の視野は北郡に限られていた。主に彼の実力がまだ十分ではなく、目立ちすぎたくなかったからだ。

そして、その時は北郡に来たばかりで、まだ貧しかった。側室募集の告示を出しても、他の封地の美しい娘たちが北郡まで来るとは限らなかった。

今や北王府の石鹸の香水や石鹸などの製品は大夏王朝全土に広がり、多くの人々が北王府が裕福であることを知っていた。

この時期に側室募集の告示を出せば、きっと多くの名家が心を動かされ、彼らの家族の中の美しい娘を北王府に送ってくるだろう。

人数が十分であれば、評価が九十点を超える者も必ずいるはずだ。

路辰はしばらく黙った後、穆紫萱に言った。「よし、愛妃の言う通りにしよう。」

路辰が同意したのを見て、穆紫萱はすぐに言った。「王様、側室選びのことを妾にお任せいただけませんでしょうか?」

路辰は穆紫萱の体を抱きしめ、彼女の髪を撫でながら言った。「お前は子供を産んだばかりだ。しっかり養生すべきだ。」

路辰は浮気者ではあったが、そこまで畜生ではなかった。自分の王妃が子供を産んだばかりなのに、忙しい思いをさせ、さらに側室選びを手伝わせるなど、とんでもないことだった。

穆紫萱は言った。「妾は王様のお力になりたいのです。王様、このことは妾にお任せください。」

そう言いながら、穆紫萱はその輝く瞳で路辰をじっと見つめた。

穆紫萱の眼差しを見て、路辰は心を動かされ、断る気になれず、こう言った。「わかった。側室選びのことは愛妃に任せよう。ただし、選考の日は私も直接立ち会う必要がある。」

路辰が側室選びを任せることに同意したのを見て、穆紫萱は心の中で非常に喜び、すぐに言った。「ご安心ください。選考の際は必ず王様ご自身に選んでいただきます。」

……

数日後。

北王府は大夏王朝全土に向けて側室募集の告示を出した。

側室募集の告示が出されるや否や、路辰は大夏王朝の民衆から激しい非難を浴びた。

北郡の民衆はそれほど問題視しなかった。というのも、北王が北郡に来てから、民衆を苦しめるようなことは何もしていなかったからだ。

さらに北王府は最近、一畝あたり千斤の収穫が可能な穀物の種を開発したようで、北王府はすでに北郡の各地で試験栽培を始めていた。