自分の秘密がすべて路辰に暴かれてしまったにもかかわらず、白卿卿は依然として強情を張って言った。「王様、私は自分の意思で北郡に来たのです。陛下とは何の関係もありません。王様がなぜそのようにお考えなのか、分かりません」
白卿卿には理解できなかった。北王様がどうして自分の身分と任務を知っているのか。
北王府の情報網がいくら発達していて、都に密偵がいたとしても、せいぜい自分が影衛だということまでしか分からないはず。影衛副統領だということは絶対に分かるはずがない。
影衛の大統領さえも自分が影衛副統領だと知らないのに、北王様は知っていた。
しかも夏帝が彼女に命令を下したのは、彼女の目の前で直接だった。命令は第二者の手や口を経由していない。理論的には漏洩する可能性は低いはずだった。
もしかして、夏帝の側近に問題が…
國師!
白卿卿の脳裏に司徒策の姿が瞬時に浮かんだ。
夏帝が彼女に命令を下したその日、司徒策もその場にいた。
だから彼女の身分と任務を漏らした可能性が高いのは、國師の司徒策しかいない。
しかし國師の司徒策は夏帝の側近であり、自分のことを漏らす理由はないはずだ。
司徒策は裏切ったのか?
白卿卿がまだ否定し続けるのを見て、路辰はただ軽く微笑み、そして彼女の耳元で続けて言った。「君は私がどうやってこれらを知ったのか、とても気になっているだろう」
その言葉を聞いて、白卿卿はすぐに弱々しく身をよじった。彼女は本当に路辰がどうやって知ったのか知りたかった。
しかし路辰はこの時、彼女の耳元で低い声で言った。「なぜなら君と私の心は通じ合っているから。私は君の心の中の考えが聞こえるんだ」
この言葉を聞いて、白卿卿は路辰が自分を弄んでいることを悟った。
彼女は自分の任務が失敗したと感じ、もう北王府にいる必要はないと思った。
そこで彼女は內力を使って、路辰を押しのけようとした。
彼女が今まで功力を使わなかったのは、主に路辰が普通の人間かもしれないと心配していたからで、うっかり傷つけてしまうかもしれないと懸念していたからだ。
しかし今や自分の正体が露見してしまった以上、北王府を去らなければならない。もはやそんなことは気にしていられなかった。
路辰を押しのけなければ、後でもう逃げられなくなるかもしれない。