第122章:宮崎高空、村へ (その1)

木野元彦と宮崎高空は車で桃の里へ向かっていた。

道がだんだん人里離れていくのを見て、二人は眉をひそめた。

「高空、この道はでこぼこだし、車で進むのは難しいね?」と木野元彦は言った。「ここの交通はあまりにも不便すぎるよ。お年寄りが往復するのは、体に負担をかけることになるんじゃないか?」

「降りろ!」宮崎高空は冷たい声で言った。

その後、二人は車を路肩に停め、降りた。

「あっ!」車から降りた途端、木野元彦は足元に気をつけていなかったため、牛の糞を踏んでしまった。

木野元彦は高級革靴が黒くて臭い牛糞で汚れているのを見て、泣きそうな表情で宮崎高空に向かって言った。「高空、ここは交通が不便なだけじゃなく、至る所が汚いよ。本当にお年寄りが来るのに適しているのかな?」

木野元彦の足元を横目で見ながら、宮崎高空は冷ややかに口角を上げて言った。「私から見れば、ここは山水明媚で景色も良く、交通の状況以外は、確かにお年寄りの療養に適していると思うがね。」

木野元彦は足元を見ながら絶望的な様子で言った。「本当に適しているの?本当に適しているの?」

宮崎高空は頷いた。「本当に適している!」

「まあ、君がそう言うなら我慢するよ!」木野元彦は辺りを見回し、近くに小川があるのを見つけて言った。「高空、ちょっと待っていて。あの川で洗ってくるよ!本当に汚いし臭いし、洗わないと死にそうだよ!」

潔癖症の人にとって、少しでも汚れがつくのは深刻な問題なのだ。

「一緒に行こう!」

そう言って、二人は道端から下の田んぼの畦道に飛び降りた。

今はちょうど田植えの時期で、まだ田植えをしていない田んぼは、すでに耕して平らにならし、水を張って、いつでも田植えができる状態だった。

一部の田んぼではすでに苗が植えられ、根付いて成長している最中で、黄色みを帯びたものや、少し萎れているものもあった。しかし、数日もすれば、それらは緑豊かに育つだろう。

木野元彦は田んぼの苗を見て尋ねた。「高空、これは何?」

大都会で育った彼が、田んぼに植えられたばかりの本物の苗を見たことがないのも無理はない。

「稲の苗のように見えるが。」宮崎高空は目に少し自信なさげに答えた。

彼もまた、田んぼの苗に実際に触れたことがないのだ。

「稲の苗?」木野元彦は疑わしげに言った。「なんでしおれているの?」