折田辻司は一日中車を運転し、やっと安則郡に着いたのは夜になってからだった。
町に着いてから、大きなホテル——黒田ホテルを見つけた。
ホテルに着いてから、少し休憩を取り、お腹が空いてきたので、レストランに降りて食事をすることにした。
しかし、レストランに着くと、彼は呆然とした。
レストラン全体が人でいっぱいだった。
これは……みんな餓鬼の生まれ変わりか?
彼らの食事の姿を見てみると、テーブルマナーも紳士的な態度も全くなく、お互いの料理を奪い合っていて、まるで長い間何も食べていなかったかのようだった。
レストランを見渡すと、どのテーブルにも人が座っていた。
食事をするには、他人と相席するしかないようだった。
彼は瞬時に疑問に思った。
このホテルの料理は、そんなに美味しいのだろうか?
しかし、どんなに美味しくても、見知らぬ人と相席して食事をするのは好きではなかった。
「ウェイター、空いているテーブルか個室はありませんか?」と折田辻司は尋ねた。
ウェイターは丁寧に答えた。「申し訳ございません。現在満席でございます。今すぐお食事をされたいのでしょうか?もしお急ぎでなければ、お部屋でお待ちいただき、テーブルや個室が空き次第ご案内させていただきますが、いかがでしょうか?」
そして少し間を置いて、「お急ぎでしたら、申し訳ありませんが、他のお客様と相席になってしまいます」と付け加えた。
折田辻司は少し考えて言った。「では部屋で休んでいますので、空いたら呼んでください。8888号室です。」
「かしこまりました!ただし、お客様」ウェイターは恭しく応じたが、さらに説明を加えた。「お部屋でお待ちいただく場合、当ホテルの名物料理が売り切れてしまう可能性がございます。」
折田辻司は眉を上げて聞き返した。「名物料理?」
ウェイターは説明した。「当ホテルの名物料理は、主に野菜料理でございます。これらの野菜料理は通常の野菜料理とは異なり、特別な香りと味わいがあり、今までにない体験をしていただけます。」
折田辻司は各テーブルを見渡すと、どのテーブルにも数品の野菜料理があり、人々が奪い合っているのもそれらの野菜料理だった。
折田辻司は不思議に思った。いつから野菜料理がこんなに人気になったのだろう。