第152章:自業自得(その1)

田中食堂は辺鄙な場所にありましたが、ここで食事をする人のほとんどは田中隆の知り合いか、安則郡のグルメたちでした。

ここで食事をするには必ず事前に電話予約が必要で、そうでない場合は申し訳ありませんがお断りするという、そんな高姿勢でした。

結局のところ、田中おじさんは料理を作るためだけにやっているのですが、あまり忙しくなりたくないと思っていました。

彼には規則があり、一食につき二組のお客様のみ、一日合計四組だけを受け入れていました。

この日も、田中食堂にまた常連客が訪れました。

田中おじさんは言いました。「あなたたち年寄りときたら、一日四組しか受け付けないって言ってるのに、ここで食事をするなら予約が必要だって。それなのに今じゃ予約すらしないで毎日来て、料理を作ってあげないと帰らないなんて。私があなたたちに借りでもあるんですか?」

客の一人、遠藤勇治が言いました。「田中隆さん、一日四組のお客さんだけなら、そんなに忙しくないでしょう。暇なら暇なりに、私たちが来て少し動いてもらって、足を動かすのも悪くないでしょう?」

田中おじさんは笑いながら叱りました。「足を動かすだなんて。四組のお客さんで、もう十分忙しいんですよ。それよりもあなたたち、お茶を飲んで話をしたり、将棋を指したり釣りをしたりしているだけじゃないですか。なぜ自分で足を動かして、自分で料理を作らないんです?」

「私たちにはあなたほどの料理の腕前がないからですよ」と金田国安は笑って言いました。

「ふふ、教えてあげることもできますよ」と田中隆は冷笑いながら言いました。「どうせ暇なんだから、この老いた体を少し動かすのもいいでしょう」

「料理には才能が必要なんですよ」と遠藤勇治がまた言いました。「私たちには才能が全くない人間ですから、もう諦めましょう。家内からもよく言われるんです、私の作る料理は豚も食べないって。でも、そういえば。この頃食べている料理は、以前の料理とは全く違うような気がします。野菜一品でも、食べた後の余韻が素晴らしいんです」

「そうですね、この料理は味が全然違います。甘くて香り高くて、私が今まで食べた中で一番美味しい料理だと思います」と金田国安は言いました。

「ええ、私は思うだけじゃなくて、間違いなく食べた中で一番美味しい野菜料理です」と遠藤勇治は言いました。