第254章:イチゴ畑の火事(1更)

第254章:イチゴ畑の火事(その1)

夜は深く、暗闇の中で指も見えないほどで、虫の鳴き声だけが聞こえていた。

村の入り口から一つの人影が現れ、古い懐中電灯を持ち、何かを手に提げていた。

その人影は大野原の方向へと移動していった。

大野原では、二軒を除いて全ての土地が鈴木花和の物だった。

イチゴも、ピーナッツも、大豆も!

イチゴは商売になり、価値も高いため、鈴木花和は四人の壮年男性を雇い、交代で見張りをさせていた。夜間のイチゴ泥棒を防ぐだけでなく、破壊行為も防いでいた!

各所に街灯が設置され、ビニールハウス内には太陽灯も設置されていた。

それぞれの太陽灯は明るく、ハウス内のすべての様子をはっきりと照らし出していた。

しかし、この人影は街灯に沿って歩くのではなく、より暗い場所、光の届かない場所へと向かっていった。

それでも、街灯はかすかに影を映し出していた。

この人物は小さな畦道を通り抜け、小川の端にたどり着いた。

小川は大きくなく、幅は二、三メートルほどで、流れは緩やかだったが、深いところと浅いところがあり、真夜中に渡るのは危険があった。

しかし小川の両岸には多くの木が植えられており、特に杉の木が多く、その葉は人を刺すようだった。

河岸の中央には一本の小道があった。

しかし中央を通ろうとすると、不注意に杉の葉に刺されてしまう。

この人物は川辺に立ち、少し考えた後、小道を下流へと進み、慎重に杉の葉を避けていった。

しかし夜は暗く、手持ちの懐中電灯の光も弱く、不注意に杉の葉に刺されてしまった。

「いてっ!」

腕を刺され、思わず声を上げてしまった。

おそらく自分が悪事を働いていることを意識していたのか、声を上げた直後に自分の口を押さえた。

そして、再び身をかがめて慎重に下流へと進んでいった。

しばらくすると、大きな水道管の前に着いた。

この管は、数年前に田んぼが干ばつに見舞われた時に設置された揚水管で、エンジンで水を汲み上げ、この管を通して両岸の用水路に流していた。

直径三十センチほどの大きな水道管が川を跨いで両端まで伸びていた。

中央部分は川の上に露出し、両端は土に埋まっていた。

地面より半分低く、水面より半分高い位置にあった。

水が浅い時期には、多くの子供たちがこの水道管の上を行ったり来たりして遊んでいた。