第254章:イチゴ畑の火事(その1)
夜は深く、暗闇の中で指も見えないほどで、虫の鳴き声だけが聞こえていた。
村の入り口から一つの人影が現れ、古い懐中電灯を持ち、何かを手に提げていた。
その人影は大野原の方向へと移動していった。
大野原では、二軒を除いて全ての土地が鈴木花和の物だった。
イチゴも、ピーナッツも、大豆も!
イチゴは商売になり、価値も高いため、鈴木花和は四人の壮年男性を雇い、交代で見張りをさせていた。夜間のイチゴ泥棒を防ぐだけでなく、破壊行為も防いでいた!
各所に街灯が設置され、ビニールハウス内には太陽灯も設置されていた。
それぞれの太陽灯は明るく、ハウス内のすべての様子をはっきりと照らし出していた。
しかし、この人影は街灯に沿って歩くのではなく、より暗い場所、光の届かない場所へと向かっていった。