鈴木花和は両親が出て行った後、とても心配になった。
彼女は大きなお腹を抱えているため、外に出ても迷惑をかけるだけだった。
彼女はリビングを行ったり来たりした後、何かを思い出して部屋に戻り、監視カメラの映像を確認した。
映像を巻き戻すと、茂みの辺りを通り抜ける人影に気付いた。
茂みの前には配管があった。
鈴木花和は鋭い目を細め、すぐに理解した。
その人物は配管を通って茂みを抜け、カメラの死角となっているエリアを通ったのだ。
その場所が監視できないことを知っていたのか、それとも単なる偶然なのかは分からなかった。
つまり、放火した後もその場所から素早く逃げ出すはずだ。
そう考えた鈴木花和は急いで外に飛び出した。
その場で犯人を捕まえようと思ったのだ。
真夜中で暗く、みんなが照明器具や消火器具を持って消火活動に急いでいたため、鈴木花和が家から出てきたことに気付いた人はいなかった。
鈴木花和は大通りを通らず、田んぼの畦道を通って行った。
小さな懐中電灯を持ち、とても慎重に歩いた。
犯人を捕まえることは重要だが、お腹の子供の方がもっと大切だった。
優先順位はしっかりと分かっていた。
しばらく歩くと、遠くに人影が見えた。その人物はすでに配管を通り抜け、村の方向へ向かっていた。
おそらく前方の懐中電灯の明かりに気付いたのか、その人物は急いで方向を変え、別の道を通って避けようとした。
鈴木花和はもちろん、そう簡単には逃がすわけにはいかなかった。
彼女も方向を変え、反対側から追い詰めようとした。
ついでに懐中電灯も消した。
仙泉の水を飲んでいたおかげで、暗闇の中でも物が見えた。
鈴木花和はその人物の動きを見ながら追い詰め、異常なほど素早く動いた。
鈴木花和が懐中電灯を消したため、相手も配管を慎重に通り抜けた後、人に見つかることを恐れて懐中電灯を使うことができなかった。
どうせここは一面の田んぼで、どう歩いても大きな問題はなかった。
彼女には、さっきの人が自分に向かってきたのを見たのか、それとも偶然なのかわからなかった。
しかし、どちらの理由であれ、避けなければならなかった。
前に人がいるなら、もう小さな畦道は歩けない。
方向を変えて、川沿いの木の下の道へと向かった。
身を潜めて隠れれば、誰にも見つからないはずだった。