三日後、鈴木花和は銀行から五百万以上の現金を引き出した。
町の銀行にはそれほどの現金がなく、県の銀行に予約してから引き出すしかなかった。
現金の引き出しは極めて慎重に行われた。
そのため、現金を村まで運び込んでも誰にも気付かれず、順調に進んだ。
「わあ、すごい額だね」
村長は配分の通知を受け、村の人々は、出稼ぎで帰れない人や間に合わない人を除いて、全員が村委員会の広場に集まっていた。
出稼ぎに行っている人の中には、家で現金が配られるという知らせを聞いて、急いで帰ってきた人もいた。
結局、この現金は一人当たりで配分され、一人七、八千円ほど、二人以上の家庭なら一万五千円以上もらえるのだ。
これは大金だ。
家には老人か子供しかいないので、これだけの大金を放っておくわけにはいかない。