外に出ると、佐々木理恵はすぐに坂元慶子に電話をかけ、先ほどの出来事を詳しく話した。最後に軽蔑した口調で言った。「ママ、あの人たちはひどすぎるわ。こんなにも露骨に兄さんを利用するなんて!彼女たちの目には兄嫁の存在なんて全くないのよ。二見家のおばさんがどうしてこんなに分かっていないのか理解できないわ!奈津子は彼女の実の娘なのに!」
坂元慶子はそれを聞いて、怒りを覚えた。「私たちは最初から二見華子の計算高さが気に入らなかったのよ。二見家の両親も分別がつかないから、なかなか結婚を認めなかったのよ。確かに両家のおじいさまには親交があるけど、和利の一生の幸せを賭けるわけにはいかないでしょう!」
「でも良かったわ、奈津子がいてくれて。本当に私たち家族の幸せよ。おじいさまが喜んでいるのを見てごらんなさい。この件は彼の心の中の大きな重荷だったのよ。今、和利と奈津子が一緒にいるのを見て、やっと安心されたわ。」
母娘は共に敵意を持って、二見家のことを散々に批判し、佐々木和利が奈津子と結婚したことを共に喜んだ。
二見和利は向かい側で仕事をしている佐々木和利を不安げに見つめ、一時どう切り出せばいいのか分からなかった。
秘書が二人にそれぞれコーヒーを運び、もう一人の秘書は佐々木和利の横で書類の承認を待っていた。
佐々木和利は署名した書類を秘書に渡し、指示した。「この件はすぐに処理してください。それと、長谷川透に休暇を早めに切り上げて戻ってくるよう伝えてください。」
秘書は困った表情を浮かべた。「常盤補佐は、今回の休暇は早期終了を受け付けないと言っており、外出中は命令を受け付けないとのことです。」
佐々木和利は軽く唇を引き締め、そして言った。「騙して連れ戻せ。休暇を追加で与えよう。」
秘書は口を開いたが、自信なさげに言った。「試してみます。」
佐々木和利は言った。「一発で成功させろ。失敗は許さない!」
秘書は仕方なく「はい、社長。必ず任務を完遂いたします。」
秘書は書類を抱えて退出した。
二見和利は佐々木和利がプライベートでこんな人柄だとは思わなかった。すぐに、この高級な佐々木グループがそれほど重苦しくないと感じ、顔にも笑みが浮かんだ。
佐々木和利は「何の用件だ?」と尋ねた。