062 親友

林千代は辛うじて頷いた。何も起こらなかったことにするしかなかった。これ以上話を続ければ自分の恥をさらすだけだと思い、急いで二人の親友に目配せをした。

チャンスは与えた。彼女たちがそれを掴めるかどうかは彼女たちの腕次第だった。彼女にできる助けは限られていた。それに、彼女たちは決して彼女の邪魔をしてはいけなかった。関口孝志との関係がまだ安定していない今、余計な問題は避けたかった。

数息の間に、林千代はすでに落ち着きを取り戻していた。

彼女はすぐに話題を主導し、二人の親友に余計な発言をさせず、佐々木和利たち三人の限界を探った。

佐々木和利たち三人も程よいところで引き下がった。結局のところ、坊主の顔を見なくても仏の顔は立てなければならない。そうなると、お酒を飲むことが最高の言い訳となり、しばらくすると皆少し酔っぱらってきた。

帰る時になって、やっと林千代は佐藤美咲の度重なる暗示を受けて、佐々木和利に佐藤美咲を送らせることを提案した。

井上邦夫は佐々木和利の肩にもたれかかり、うっとりした笑顔で言った。「だめだよ、和利くんは私を送らなきゃ。私たちは近所だから道順も同じ。あなたたちとは違うの」

橋本拓海も慌てて言った。「私は家に帰らないよ。井上のところに泊まるから。家に帰ったら母に正座させられちゃうからね、へへ！」

まったく面子を立ててくれない。

林千代は立場が悪くなった。

関口孝志は冷ややかに言った。「私たちのお客様は当然私たちが送ります。運転手を呼んであるから、お前たち三人は早く帰れよ！」

「はいはい！」橋本拓海は井上邦夫と佐々木和利を引っ張って、よろめきながら去っていった。

佐々木和利が家に帰ると、少し頭がくらくらしていた。彼は普段あまり酒を飲まないが、酒量は悪くない。ただし、気分によって飲み方が変わる。

今日は皆の気分があまり良くなかった。関口孝志があんなに落ち込んでいるのを見て、皆が彼のために残念に思った。

彼は台所に駆け込んで水を探した。喉が渇いて仕方がなかった。

台所のコンロの上の小さな明かりが点いていて、その明かりの下で、お茶が茶台の上で温められていた。

佐々木和利が手を伸ばして触ってみると、ちょうど良い温度だった。一杯注いで飲んでみると、とても馴染みのある味がした。前回二見奈津子が作ってくれた酔い覚ましのお茶だった。