二人が階下に着くと、二見奈津子から電話がかかってきた。「晴子さん、どこにいるの?」
藤原美月の声にはまだ笑みが残っていた。「もう階下よ。心配しないで、大丈夫だから」
二見奈津子は安心して、また尋ねた。「どうやって帰ったの?車はバーに置いてきたの?」
藤原美月は答えた。「車で帰ってきたわ。心配しないで。バーの株主が送ってくれたの。仕事は終わった?準備は整った?明日から出勤するから、みんなの仕事をチェックするわよ」
二見奈津子も笑った。「安心してください、管理人さん。期待を裏切りませんから」
井上邦夫は車を停め、藤原美月に車のキーを渡すと、彼女は少し申し訳なさそうに言った。「よかったら、明日送っていきましょうか」
井上邦夫は笑って言った。「いいえ、結構です。職場はそれほど遠くないので」