「パパ、ママ、私、主役になったの!」理恵は玄関に入るなり、ハイヒールを脱ぎ捨て、素足のまま中へ走っていった。
奈津子は苦笑いを浮かべた。
和利は彼女に靴を渡しながら言った。「心配しないで。彼女は自分でやれるから。両親はむしろ感謝してるくらいだよ」
奈津子は安心できなかった。
理恵はおじいちゃんと出くわすと、すぐに抱きついた。「おじいちゃん、おじいちゃん、私、主役になったの!」
佐々木宗は孫娘の勢いで一歩後ろによろめきながら、「おっと」と言いつつ「ゆっくり、ゆっくり。おじいちゃんの年寄りの腰じゃ、もう君の元気には耐えられないよ!」
理恵は「チュッ」とおじいちゃんの頬にキスをすると、後ろから出てきたパパの方へ駆け寄った。「パパ、パパ、私、主役になったの!」
佐々木宗は興奮している孫娘を見ながら、後ろにいる孫と孫嫁に尋ねた。「どうしたんだ?何を飲ませたんだ?こんなに喜んでるなんて」