藤原美月はトイレで吐いた後、顔を洗い、化粧を直した。顔色が青白すぎたため、頬紅で誤魔化すしかなかった。
身なりを整えてからトイレのドアを開けて出ていった。足取りがふらついていたので、藤原美月は気を取り直して、自分の個室に向かった。最後の一戦で、彼らを酔いつぶせば今日の任務は完璧に終わる!
「美月?本当にお前か?」突然腕を掴まれ、大きな影が目の前に立ちはだかった。
藤原美月は心臓が飛び出しそうになり、毎晩夢に出てくるあの目と向き合った瞬間、呼吸すら忘れてしまった。
関口孝志は目の前の化粧の綺麗な女性を信じられない思いで見つめていた。彼女は藤原美月だ。彼が昼も夜も想い続けた藤原美月なのだ!
しかし、彼女は藤原美月でありながら、どこか違うようにも見えた。
彼の知る藤原美月は、優しく素直で、賢く淑やかな、まるで隣家の妹のような存在だった。