帰り道の車の中で、二見奈津子は店員たちからもらった小さなプレゼントを手にして、とても嬉しそうな様子だった。
佐々木和利もその雰囲気に感染され、時々彼女の方を見やっていた。
二見奈津子は小さな猿のストラップを眺めながら尋ねた。「今日の私の戦闘力はどうだった?あなたの追っかけを撃退できたと思う?」
佐々木和利は微笑んで答えた。「それは彼女次第だね」
二見奈津子は別のストラップを手に取りながら言った。「これは佐々木理恵にあげよう。きっと喜ぶわ。さっきの猿は安藤さんに、干支が申だから」
「あの佐藤美咲さんったら、もう少しでアナタの首に『私専用の男』って札を下げるところだったわね」と二見奈津子は首を振りながら評した。
佐々木和利は唇を引き締めて言った。「林千代は関口孝志の婚約者だから、最初は関口孝志の面子を立てて大目に見ていたんだ。まさか、彼女たちがここまでエスカレートするとは思わなかった」
二見奈津子は荷物を片付けながら背筋を伸ばして言った。「そういえば、あなたの友達って少し変よね。自分の婚約者の行動を分かっているはずなのに、止めようともしない。ただ彼女と友達に好き勝手させている。友情を信じすぎているの?それとも婚約者に何か罠を仕掛けているの?」
「そこまで見抜いていたの?」佐々木和利は心からの賞賛を込めて言った。
佐々木和利は首を振りながらため息をついた。「僕にも彼ら二人が何をしようとしているのか分からない。でも、僕はそれに関わりたくない。だから今日君に付き合ってもらったんだ。関口孝志への最後通告でもある。親しい間柄だからこそ、やりすぎるのも良くない。仕方ないんだ」
二見奈津子は理解を示した。「大丈夫よ。次にこういう厄介な恋愛話があったら、また私が盾になってあげる」
「ありがとう!」佐々木和利は運転しながら、思わず口角が上がった。
「じゃあ、今度は君に厄介な恋愛の話があって助けが必要なときは、遠慮なく言ってくれ」彼は少し考えてから、お返しを申し出た。
「はは、それはないでしょう。私は恋愛絶縁体だから。それに、試写会であなたが全世界に宣言したんだから、誰も無駄な努力はしないわ」二見奈津子は気にしない様子で言った。
「どうして君は恋愛絶縁体なの?学生時代に誰も君を追いかけなかったの?」佐々木和利は探るように尋ねた。