196 歴史

藤原美月は理解できない様子で「どうしてそう思うの？」

向井輝は苦笑いを浮かべ、何も言わなかった。

藤原美月は笑って言った。「佐々木さんの目にも心にもあなたしかいないのに、どうしてそんな考えを持つの？相応しいとか相応しくないとか、愛にそんな基準があるの？もう結婚もしているのよ？義理の両親も、義理の姉妹も、みんなあなたのことが大好きじゃない。幸せな女性なのに！」

「でも、みんなが私に優しくしてくれれば優しくしてくれるほど、私には彼に相応しくないと感じるの」と向井輝は小声で言った。

藤原美月は驚き、向井輝が謙遜ではなく本気で言っていることに気づいた。

「藤原美月、分かる？人生では一つの過ちも犯してはいけないの。一度やってしまったことは、痕跡として残るわ。忘れようとしても、消そうとしても、それは不可能なの。汚点は汚点のまま！」

「もしいつか、本当に愛する人に出会ったら、その汚点は無限に拡大されるの。その人にその汚点を知られることが怖くて、いつか愛されなくなることが怖くて...」向井輝の声には涙声が混じっていた。

藤原美月は向井輝に何があったのか分からず、どう慰めればいいのか分からなかった。

向井輝はおそらく長い間抱え込んでいたのだろう。今日はアルコールの影響で、吐き出さずにはいられない衝動に駆られていた。

「私が小さい頃に母は亡くなったの。継母は私の家庭教師だった。当時私は反抗期で、それに祖母の家族が継母の悪口を私の前で言い続けていたから、父が継母と結婚することにすごく反発していたの。結婚してからは、二人に反抗し続けたわ。」

「中学生の時かな、彼氏ができて成績が下がって、いい高校に入れそうもなくなったから、父は私を留学させたの。その時私は、父が私に失望して、この機会に見捨てたんだと思ったわ。」

「海外に行ってからは、さらに束縛がなくなって、複数の男子と曖昧な関係を持つようになった。拒絶もしないし、責任も取らない。彼らが私のことで嫉妬し合うのを見て、なんだか満足感があったの。まるで、そうすることで父に証明できるみたいに。私には愛してくれる人がいる、私は愛される価値がある、父が愛してくれなくても、たくさんの男性が私を愛してくれるって。」

向井輝は顔を上げ、手で顔を覆って、話を中断した。