198 刺繍の肖像

二見奈津子は行動派だった。

翌朝早くから佐々木和利、井上邦夫、藤原美月を連れて町長の事務所に行き、町長と住民代表から彼らの計画や直面している課題について話を聞いた。

佐々木理恵は藤原美月の指示を受け、寝坊を口実に向井輝の世話を任された。

一晩の休養を経て、向井輝は疲れていたものの、精神的にはずっと良くなっていた。

二人は手を取り合って景色を見に出かけた。

佐々木理恵は向井輝を案内した。「私たち、ここで撮影したことがあって、いくつかの場所はよく知ってるんです。お姉さん、この地域の手工芸品の織物を見に行きませんか?すごく感動的ですよ。」

向井輝は頷いて同意した。

町の石畳の道は特に趣があり、二人は談笑しながら歩いていると、数人の観光客と出会った。

「あら、あなたたち!どうしてここにいるの!」美咲は佐々木理恵と向井輝を見つけるなり、驚きの声を上げた。