「なんて名前だったかな?ああ、『午後四時半』だ」美咲は言い終わると、携帯を持って外に出て、写真を送り、メッセージを送り、電話をかけた。
向井輝と佐々木理恵は顔を見合わせ、状況が分からないまま、とりあえず皆を座らせてお茶やお水を出した。
二見奈津子たちがまだ戻ってこないので、美咲は落ち着かない様子で、心ここにあらずといった感じだった。
突然彼女の電話が鳴り、美咲は外に出て電話に出た。「はい!そうです!ええ!」という返事ばかりが聞こえてきた。
興奮した表情を見て、同行者たちは皆不思議そうだった。
美咲は電話を切ると落ち着きを取り戻し、二見奈津子と佐々木和利たちがまだ戻ってこないのを見て、佐々木理恵と向井輝に皆を案内して散歩に連れて行くよう頼んだ。
町の人々は素朴で、美咲が道端の子供に尋ねると、その子供は自ら進んで案内役を買って出た。
向井輝は思わず感心して言った。「さすが美咲さんは違いますね!」
彼女のような商売人は、生まれつきの鋭い感覚を持っているのだ。
美咲は散歩しながら子供とおしゃべりを楽しみ、話題は全て二見奈津子の家族のことだった。
「私たちは皆、二見奈津子さんを見習って、しっかり勉強して、大きくなったら立派な人になって、故郷を発展させるんです!」子供は二見奈津子の話をする時、尊敬と誇りに満ちた表情を見せた。
佐々木理恵と向井輝も誇らしげだった。
美咲は夜になってようやく二見奈津子と佐々木和利に会えた。
村人たちが豪華な料理を持ってきてくれ、隣家の渡部叔母さんと小中叔母さんが二見奈津子を手伝って客人の世話をし、慌ただしい時間が過ぎた後、やっと皆で話をする機会ができた。
美咲は二見奈津子の手を取り、居間の肖像画を指さしながら緊張した様子で尋ねた。「奈津子さん、あなたの養父母の写真は残っていますか?」
二見奈津子は何気なくうなずいた。「ありますよ。でも数枚しかなくて、二人の一緒の写真がないので、この刺繍を作ったんです。」
美咲は「ある」という言葉にだけ興味を示した。
「ここにありますか?見せていただけますか?」美咲は直接尋ねた。
二見奈津子は少し戸惑いながら、軽くうなずいた。「二階の部屋にあります。」
佐々木和利は眉をひそめた。「何か問題でもあるんですか?どうして急に写真に興味を持ったんですか?」