206 恩返し

二人は一口食べると、驚いて顔を上げて見つめ合い、続けざまに美味しいと褒め称えた。

二見奈津子は目を細めて笑った。「美味しければもっと食べてください。」

養父母は彼女の作った料理を一度も食べることができなかったが、今、祖父母が彼らの代わりに食べることで、二見奈津子の願いも叶えられたのだった。

夕食後、佐々木和利は佐藤健二に引っ張られて、彼らの投資計画について相談することになった。

彼らの一人娘を救ってくれたこの小さな町は、住民から草木に至るまで、すべてが恩人だった。彼らは必ずこの恩に報いなければならない。この地を発展させ、娘と婿の魂がここで安らかに眠れるようにしたい。たとえ生死の境を隔てていても、彼らは精一杯の努力をして娘に幸せを与えたいと思っていた。

美咲はこっそりと涙を流し、井上邦夫と共に黙々と計画に参加した。親から子への愛ほど心を打つものはないのだから。