向井輝は果たして食べ物の香りに誘われて出てきた。
二見奈津子は四品の料理と一つのスープを作り、スープを茶碗に注いでいた。向井輝が目を赤くして、疲れた様子で出てくるのを見て、ただ一言「顔を洗って、食事にいらっしゃい」と言った。
向井輝が座ると、二見奈津子はまず報告した。「お兄さんが急な任務を受けて、部隊に戻ったの」
向井輝は一瞬固まり、失望の表情を浮かべ、箸で取ろうとした料理も皿に戻してしまった。
「お兄さんはあなたのことをとても心配してるわ。あなたが心配させたくないなら、ちゃんと食事を取って、彼の帰りを待つべきよ。どんな任務か分からないけど、私はお兄さんに、あなたがきっと大丈夫だから気を散らさないでって約束したの」
「うん」向井輝は小さく返事をして、頷いて、再び茶碗を手に取った。