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彼は左右を見回したが、小中苗子の姿は見えなかった。「話しておくが、これは全て私の女房のせいだ。あいつが、あいつが...あんまり強く打ちすぎなければ、逃げ出すこともなかったはずだ。この忘恩の娘め!逃げやがった!」

佐々木和利は立ち上がり、酒瓶を福島さんに投げつけた。手を縛られていた福島さんは受け取れず、酒がこぼれるのを見て慌てて叫んだ。「あぁ、あぁ、こぼれた、こぼれた。これは良い酒なのに!」

佐々木和利は松本さんの前に歩み寄った。「まだ何か言いたいことがありますか?このような極悪人の前で正義を振りかざすつもりですか?良心が痛まないんですか?」

松本さんの顔は赤くなったり青ざめたりして、言葉が出なかった。

小中智也は慌てて言った。「私たちは関係ありません!叔母が子供を誘拐したんです。彼女は、あなたの家に内通者がいたから成功したと言っていました!」