病院で、田中弥生は眠っている佐藤健二を見て、やっと安堵の息をついた。
救急処置が間に合って、佐藤健二は危機を無事に乗り越えることができた。
「奥様、ご家族の奥様方がお見えになりました」と秘書の富士が耳元で小声で伝えた。
田中弥生は少し驚き、眠っている佐藤健二を一瞥してから頷き、二人の特別看護師に合図を送り、富士と一緒に部屋を出た。
富士は歩きながら静かに話した。「田中希美様から、最近の業務の進捗状況を佐々木取締役に報告し、佐々木取締役が既に彼と共に業務を処理していますので、ご安心くださいとのことです」
田中弥生は頷いた。「佐々木和利は二見奈津子の夫で、私たちの孫婿、つまり身内だから、今後何かあったら、私たちがいない時は直接彼らに相談して処理してもらいなさい」
「はい」と富士は応えた。