向井輝は薬の袋を棚に掛けながら、心配そうに言った。「大丈夫?疲れたら無理しないで。あなたの体も和利くんの体も大切だから。強がらないで。和利くんが目を覚ましたら、きっと心配するわ。分かる?和利くん、本当にあなたのことが大好きなのよ!」
二見奈津子は顔を上げて、向井輝を見つめた。「みんな、気付いていたの?」
向井輝は薬の袋を掛け終わり、静かに頷いた。「奈津子さん、和利くんはあなたを愛しているわ。あなたを見る目が違うの。あなたがいれば、和利くんの目には他の人が入らないわ。いつも無意識にあなたを見ているの。あなたを待っているのよ。あなたも彼を愛してくれることを」
二見奈津子は鼻が痛くなった。どうして自分だけがこんなに鈍感だったのだろう?
向井輝は身を屈めて、二見奈津子の足の上に毛布を掛け、優しく言った。「奈津子さん、価値のない宝は求めやすいけれど、誠実な恋人を見つけるのは難しいわ。和利くんは、あなたが愛するに値する人よ」