佐々木理恵は驚いて言った。「えっ、すごいですね!そんなことまで分かるんですか?」
若い看護師は真面目な顔で言った。「集中治療室の空気までも、二人の愛の気配で満ちていますよ。」
そう言って、思わず笑ってしまった。
向井輝が来て佐々木理恵の肩を叩いた。「いたずらはやめなさい。早く両親とおじいちゃんおばあちゃんに連絡して。心配させないように。」
佐々木和利が予定通り目覚めるかどうか分からなかったため、向井輝は年配の家族全員を家に帰らせていた。
佐々木理恵は急いで電話をかけに行った。
向井輝は長いため息をついた。
とにかく無事で良かった。生きていてくれて良かった。
今回は佐々木和利が先に目を覚ました。ベッドの傍らには軍服姿の兄が座っていた。
「奈津子は?」彼の声はかすれていた。