佐々木和利は少し考えて、受け入れられる範囲で軽く首を振った。「はっきりとは分からないけど、たぶん君が初めて僕のオフィスに飛び込んできて、条件交換と契約の話をしてきた時だと思う。母と妹以外の女性を真剣に見たことがなかったんだけど、あの日、突然君がとても綺麗だと思ったんだ。その考えに自分でも驚いて、だから家に帰ってから意地悪をしたんだ」
佐々木家で過ごした最初の夜を思い出し、二見奈津子は思わず笑みを浮かべた。
「その後、自然と君に惹かれていって、好きになって、そして恋に落ちた。いつからかって?どうでもいいさ。とにかく、僕は君を愛してるんだ、奈津子」佐々木和利は意識が朦朧としてきているのを感じた。
二見奈津子の指が、無意識に佐々木和利の手の付け根を撫でていた。
「奈津子、君は——、僕のことが好き?」佐々木和利は躊躇いながら口を開いた。彼は真実を求める人間だった。