長谷川樹富は目を輝かせた。「西区——、どの辺りですか?」
林千代は微笑んで答えた。「西区二丁目の鈴木家の老舗宝石店です。多くの人がわざわざそこまで買い物に来るんですよ。義母が言うには、誠意の表れとしてあなたにプレゼントしたいそうです。ご都合の良い時にお越しいただければ、その場で譲渡手続きを済ませられます」
長谷川樹富は笑顔が止まらなかった。「ありがとう、ありがとう。まあ、お義母様とあなたは本当に気を遣いすぎですよ。私、恐縮してしまいます」
林千代は急いで言った。「私と佐藤美咲との関係もありますし、みな家族同然ですから、遠慮なさらないでください。これはほんの些細な礼儀にすぎません。佐藤家は栄市に来たばかりで、まだ多くの場面で馴染んでいないので、伯父上や叔父上方に何かご用がありましたら、遠慮なく関口孝志にお申し付けください」