302 骨肉

二見華子の心は沈んだ。

「お母さん、様子を見に行きましょう」二見華子は佐藤美菜子の腕を取った。

佐藤美菜子は気が進まない様子で「はぁ?向こうから来ないのに、私から行くなんて。行かないわ!」

二見華子は声を潜めて佐藤美咲のことを話した。「お母さん、伯母さんは佐藤美咲のことで私たちを避けているんじゃないでしょうか?」

佐藤美菜子は首を振った。「絶対にないわ。佐藤美咲なんて、ただ綺麗だから側に置いているだけよ。あの子の実の親は役立たずで、伯母さんはまつ毛一本も気に入ってないはずよ!もし関口孝志か佐々木和利を手に入れられたら、少しは見直してあげてもいいけど。でもそれができなければ、ふん!あの子なんて何なの?うちの佐藤家には女の子なんていくらでもいるわ!」

話す方に意図はなくとも、聞く方には思うところがあった。