橋本拓海から電話がかかってきて、佐々木和利はスピーカーフォンにした。
「もしもし、和利、良いのか悪いのかすぐには判断できないニュースがあるんだけど、聞きたい?」橋本の声は怠惰で期待に満ちていた。
佐々木和利は親友のことをよく分かっていたので、淡々と言った。「ちょうどいいタイミングだ。さっき奈津子と君のメディア事業の拡大を手伝う話をしていたところだよ。」
「本当?最高の親友だな!事業拡大は必要ないよ、奈津子さんに映像編集を手伝ってもらえるだけでいい!」橋本の声は急に切迫して興奮してきた。
佐々木和利は口角を上げ、二見奈津子と視線を交わして笑いながら、淡々とした口調で言った。「それは君の言うニュースが良いか悪いかによるな。」
橋本は佐々木和利の言葉の意味を完全に忘れ、二人が条件を出す前から彼を手伝う相談をしていたことに気付かず、思わず言った。「二見華子は二見奈津子より先に佐藤翔に隠し子がいることを知っていたんだ!このメディアがクラウドに押し寄せているのは、二見華子と無関係じゃないはずだ!」
佐々木和利と二見奈津子は目を合わせ、佐々木和利の笑顔は冷たくなった。「どうしてそれを知っているんだ?」
橋本は簡単に経緯を説明した。「私が思うに、二見華子のこの手は災いを転嫁させるものだ。彼女は佐藤家の人間なのに、佐藤家のスキャンダルを暴露したら佐藤家の人間に食い物にされるだろう?だから彼女はこんな悪知恵を思いついて、自分は無傷で逃げ出そうとしているんだ。」
「この女は本当に腹黒いな。母は全く太刀打ちできず、すっかり騙されて、僕に彼女との見合いを強要して、好きかどうか、なぜ好きじゃないのかとしつこく聞いてくる。チッ!こんな女と結婚なんて、死にたくなるよ。」
佐々木和利は淡々と言った。「時間があったら事業拡大の計画について相談に来てくれ。投資するよ。」
二見奈津子は電話に向かって大声で言った。「何か手伝えることがあったら、遠慮なく言ってね!」
橋本は二見奈津子もいることに気付かず、突然の約束に一瞬呆然としたが、すぐに喜んで「はい、ありがとうございます!」と答えた。
電話を切ると、佐々木和利は眉をひそめた。「この二見華子は、どうしていつもトラブルを起こすんだ。」