橋本拓海から電話がかかってきて、佐々木和利はスピーカーフォンにした。
「もしもし、和利、良いのか悪いのかすぐには判断できないニュースがあるんだけど、聞きたい?」橋本の声は怠惰で期待に満ちていた。
佐々木和利は親友のことをよく分かっていたので、淡々と言った。「ちょうどいいタイミングだ。さっき奈津子と君のメディア事業の拡大を手伝う話をしていたところだよ。」
「本当?最高の親友だな!事業拡大は必要ないよ、奈津子さんに映像編集を手伝ってもらえるだけでいい!」橋本の声は急に切迫して興奮してきた。
佐々木和利は口角を上げ、二見奈津子と視線を交わして笑いながら、淡々とした口調で言った。「それは君の言うニュースが良いか悪いかによるな。」
橋本は佐々木和利の言葉の意味を完全に忘れ、二人が条件を出す前から彼を手伝う相談をしていたことに気付かず、思わず言った。「二見華子は二見奈津子より先に佐藤翔に隠し子がいることを知っていたんだ!このメディアがクラウドに押し寄せているのは、二見華子と無関係じゃないはずだ!」