321 推薦

林千代は笑いながら斎藤由美にお茶を注いだ。「帰ってきてすぐに私と食事の約束をするなんて、何か良い知らせでもあるの?」

斎藤由美はお茶を一口飲み、メニューを見ながら眉を上げて言った。「むしろ、あなたの方に良い知らせがあるんじゃない?」

林千代は笑って答えた。「私に何の良い知らせがあるっていうの?毎日が退屈な日々よ。それよりも、あなたが海外に行ってきたけど、気になる人に出会わなかった?」

斎藤由美は口を尖らせた。「聞いたわよ。佐藤美咲が関口孝志を誘惑しようとして失敗して、あなたの義母に正体を見破られたんでしょう?追い出されただけじゃなく、あなたと関口孝志の結婚式も早まったって?」

林千代は微笑んだ。「情報通ね。」

斎藤由美は少し酸っぱい顔をして言った。「みんな知ってることよ。まだお祝いも言ってなかったわね。どう?結婚式の準備は順調?私に何かできることある?」

林千代は考えて言った。「そうね、ブライズメイドのドレスを直接選んでほしいの。私が選んだものが気に入らないかもしれないから。」

斎藤由美は笑って言った。「まさか。あなたのセンスは、いつも最高だもの。」

林千代は話題を変えた。「あなたの方はどうなの?佐々木家は警戒が厳しくて、外部の人間には何も分からないわ。向井輝が佐々木家をいつ離れたのか調べられなかったけど、二見奈津子の情報だけは少し多く得られたわ。やっぱり彼女は公人だから。」

斎藤由美はお茶を一口飲み、無表情で言った。「当然よ。佐々木光の身分は特別だから、佐々木家が警戒するのは必然ね。向井輝は部隊に戻ったわ。佐々木光が新しい任務を受けたから、きっと重要なものね。向井輝もまた保護されることになったわ。」

林千代は眉をひそめた。「そんな生活、好きなの?私だったら耐えられないわ。一人の男が、自分の自由も思うままにならないなんて、妻にどれだけの気持ちを向けられるっていうの?価値があると思う?」

斎藤由美は頷いた。「もちろんよ。私は彼という人を愛しているの。何をしていても愛しいし、彼のために何をしても甘んじて受け入れるわ。」

斎藤由美の口調はとても断固としていた。

林千代はため息をついた。「本当に感心するわ。これからどうするつもり?」

「——待つわ!」斎藤由美は静かに言った。