第340話 見物

道川光莉は彼を一瞥した。眼鏡に隠れていない彼女の瞳は、なんとも輝くような美しさを放っていた。橋本拓海は思わず心の中で賞賛の声を上げた。

「私たちは今村叔母さんに付き添って来たの。近藤真琴叔母さんが、他の人は皆お嫁さんを連れているのに、一人じゃ面目が立たないって言うから、見栄のために来たの」と道川光莉は声を潜めて言った。

「ちっ！」橋本拓海は歯が痛くなり、頭も痛くなった。

道川光莉は彼を横目で見た。「条件は後で。よく考えてから要求するわ！」

「ちっ！」橋本拓海は彼女を睨みつけた。この娘は本当に損をしない性格だな。

今村恵子は四人の子供時代の面白い話を全て語り終え、雰囲気は十分に盛り上がっていた。関口孝志の表情さえも和らいでいた。

今村恵子は笑いながら言った。「この四人の腕白な子供たちの中で、一番手がかからなかったのは関口孝志でした。丹野環奈さんは先見の明があって、早くから彼の婚約者を決めていました。林千代さんもとても分別のある子で、私たちは本当に羨ましく思っていました」

「今日、彼らがついに結ばれるのを見て、私たちは祝福すると同時に、とても羨ましく思います。でも、私たちの不肖の息子たちも、今では素晴らしい伴侶を得ることができました。近いうちに、今日のように関口孝志を祝福するように、私たち家族の喜びも分かち合えることでしょう！」

再び大きな拍手が沸き起こった。

関口孝志の視線は常に藤原美月の方向に向けられていた。車椅子に座る彼女は優美で穏やかで、後ろに立つ背の高い端正な井上邦夫と相性が良かった。関口孝志の心は穏やかではなかった。

林千代は関口孝志の表情をすべて見ていた。今村恵子の一言一言が、彼女にとっては皮肉であり、針のように心を刺した。

願いが叶ったはずなのに、幸せや喜びを少しも感じることができなかった。

特に、ステージ下の藤原美月のあの超然とした様子を見ると、彼女を粉々にしてしまいたいほどだった！

滔々と語る今村恵子を見ながら、林千代の心の中の炎は燃え盛り、理性も焼き尽くされていった。彼女は一歩前に出て、今村恵子の横に立った。

「今村叔母さん——」彼女は今村恵子の言葉を遮った。