「今日、父が私に付き添って洋服を選びに行きたがって、次から次へとスーツを選んでいたの。おじいちゃんは途中から来て、私たちが呼ばなかったことに怒ったふりをしていたわ。今では長谷川透まで買収されて、仕事の予定をできるだけ減らしてくれているの」
「私は今日、母が用意してくれた刺繍品を安藤さんに渡して、晴子さんにも同じように用意するように伝えたの。安藤さんの目が輝いていたわ。長谷川透だけじゃなく、今では祖父母まで彼らに取り込まれちゃって、世界中で私たち二人だけが蚊帳の外...って彼らは思ってるのよ!」
二人は笑い合った。主役でありながら傍観者でもあるという新鮮な感覚が、とても面白かった。
「お兄さんと向井輝に知らせたかしら。向井輝はまた国際金賞を取ったのよ。本当にすごいわ。私たちの結婚式に帰ってきて、みんなと一緒に騒いでくれるかしら」