二見奈津子は電光石火の勢いで佐々木グループを引き継ぎ、暫定取締役会長の職に就き、雷のような手段で大小の株主たちを抑え込んだ。
その日、佐々木グループの会議室から出てきた株主たちの表情は複雑だったが、外で待ち構えていた記者たちに対しては、驚くほど一致した口調だった。
「私たち佐々木グループは一丸となって、佐々木和利を信じ、二見奈津子も信じています。必ず皆を困難な時期を乗り越えさせてくれると確信しています。私たちは彼ら夫婦を無条件で支持します!」
このニュースは衝撃的ではあったが、記者たちや背後の黒幕たちの期待するほどではなかった。
そこで、彼らは二見奈津子を待ち伏せした。
二見奈津子は黃昏時まで佐々木ビルを出なかった。特別補佐の長谷川透と二人の秘書を従えていた。
長谷川透は歩きながら真剣な表情で業務報告をしていた。