366 追跡

鈴木隆は直ちに自分のスマートフォンを取り出し、指を素早く動かして操作し、最速で写真を合成した。「WeChat追加して、すぐに写真を送るから。」

二見華子はすぐに従い、斎藤由美に送信した。

鈴木隆は二見華子のスマートフォンで少し操作し、送信経路を消去して、二見華子が自分で撮影した写真に見せかけた。

二見華子は目を丸くして呆然と見つめていた。

鈴木隆はほっと息をつき、心から言った。「ありがとうございます、二見さん。」

二見華子は優しく微笑んだ。「佐々木家のお兄さまのお役に立てて、私の幸せです。」

鈴木隆は心の中で溜息をついた。借りは何でもいいが人情は借りたくないものだ。これをどう返せばいいのか。

二見華子は心の中の興奮を抑えながら、これは天から与えられたチャンスだと思った。佐々木家の門が彼女に向かってゆっくりと開かれていくのが見えるようだった。