372 救援を求める

「どうしてここを見つけたの?どうして次から次へと、みんな反抗的になるの?阿部さん、もう彼女を苦しめないで。もし何か起きたら、私はあなたを守れないわ!先に斎藤由美に何があったのか見てくる!」

「聖司さん、大変です!一団が押し入ってきました!」

耳元で混乱した声が響いていたが、次第に遠ざかっていく。向井輝はもう持ちこたえられず、意識を失う直前に、心の中でそっとため息をついた。

この世には、本当に因果応報があるのだ!

「輝!」二見奈津子は叫び声を上げ、血まみれの向井輝に飛びつくように抱きついた。

「救急車!救急車を呼んで!」二見奈津子は声を失いそうに叫び、その声には極限まで恐怖が滲んでいた。

外は混乱の渦中で、格闘の音、うめき声、悲鳴が、次々と響き渡っていた。

斎藤由美は大柄な男に両手を後ろに捻じ上げられ、もがきながら二見奈津子が救急隊員と共にストレッチャーを運び出すのを見た。ストレッチャーの上には血まみれの人が横たわっていた。

斎藤由美は目を見開いた:「彼女が、本当にここにいたの?奈津子、あなた卑劣よ!私を利用したのね!」

二見奈津子は足を止め、斎藤由美の前に歩み寄り、手を上げて強く平手打ちを食らわせた:「輝に何かあったら、あなたの命一つじゃ足りないわ!あなたに何の価値があって、私があなたを利用する必要があるというの?」

二見奈津子は振り返って走り、救急隊員に追いつき、救急車に飛び乗った。

パトカーのサイレンが一斉に鳴り響き、警察が到着した。斎藤由美は目の前の田中希美と長谷川透を見つめ、その眼差しにようやく絶望の色が浮かんだ。

「あなたたち、私を追ってきたの?」斎藤由美は震える声で尋ねた。

長谷川透は無表情で答えた:「私たちに感謝してほしいのか?」

斎藤由美は足の力が抜け、虚ろな目で呟いた:「なぜ?なぜ?彼女を憎んでいたはずなのに?なぜ殺さずに、連れ戻したの?」

巨大なテレビスクリーンの前で、青木大輔は優雅にウェットティッシュで手についた紫がかった赤い果汁を拭っていた。

スクリーンには、血まみれの向井輝が救急車に運び込まれ、二見奈津子が振り返って斎藤由美を平手打ちし、その後を追う様子が映っていた。

青木大輔は微笑んで、リモコンで二見奈津子が振り返った時の怒りと殺気に満ちた表情で画面を止めた。