389 協力

青木大輔は微笑みを浮かべながら、まっすぐ前を見て廊下を通り抜けた。心の中でため息をつきながら考えた：二見奈津子は本当に並外れた女性だ。なぜこんな女性と最初に出会えなかったのだろう？

佐々木家の兄弟の運の良さに再び感心しながら、彼らを倒す決意をさらに強めた。彼は認めた、嫉妬していると。

二見奈津子は青木大輔を一目見て、少し驚いた。この人、どこかで見たことがある。

二見奈津子の手を握りながら、青木大輔は礼儀正しく温かな笑顔を見せた：「二見監督、お名前は以前から存じ上げておりました。本日お目にかかれて、この上ない光栄です。」

二見奈津子は手を引き、青木大輔を座るよう促し、微笑んで言った：「青木社長、お気遣いなく。」

「以前お会いしたことがありますね。」青木大輔は率直に言い、二見奈津子を見る目は優しく誠実だった。

電光石火のごとく、二見奈津子は青木大輔との数回の出会いを思い出した。エレベーターで、病院で、カフェで。

青木大輔は二見奈津子が思い出したことを察し、微笑んで言った：「人混みの中でのすれ違いも、前世で五百年の縁があってこそだと言います。私と二見監督は、深い縁があるのですね。」

この言葉に、二見奈津子は何となく不快感を覚えた。なぜか、青木大輔の態度が作為的に感じられた。

「では、青木社長が映像業界に投資しようと思ったのも、縁があってのことですか？」二見奈津子は淡々と笑いながら言った。

青木大輔は頷いた：「そうですね、これも二見監督との縁でしょう。誰かが二見監督の過去のドキュメンタリーを私に薦めてくれて、私は完全に魅了されました。二見監督が次のドキュメンタリーの準備をされていると知り、すぐに自薦させていただきました。どうか私に機会をください！」

二見奈津子は思わず唇を噛み、笑顔はさらに薄くなった：「青木社長、お気遣いが過ぎます。」

こんなに積極的な投資家は今まで見たことがない。

異常な事態には必ず何かがある。二見奈津子は本能的に目の前のこの人物が好きになれなかった。

青木大輔は二見奈津子の微妙な表情の変化から彼女の感情の変化を読み取り、心の中の喜びがさらに増した。