二見華子は大きな幸せに包まれ、一晩中ほとんど眠れなかった。
幸せがあまりにも突然訪れ、喜びと不安が入り混じっていた。
彼女の幸運の神は確かに佐々木和利だった。以前の機転の利いた判断に感謝していた。もし佐々木和利のために隠れ蓑になるという決断をしていなければ、彼からの好意も得られなかっただろう。
佐々木和利の承認を得たことで、佐々木理恵というライオン姫も態度を軟化させ、ドキュメンタリーの撮影に参加させてくれた。しかも緊急で追加撮影を行い、石井菜菜子たちよりも先に撮影を終えることができた。脚本も藤原美月と道川光莉が急いで完成させたものだった。このような待遇は、二見華子以外には誰も得られないだろう。
二見奈津子は始終何も言わなかった。
彼女に何が言えるというのだろう?