抜け目がない。
二見華子は無意識に二見和利の後ろに隠れるように身を寄せた。
佐々木光は「礼儀正しく」先ほどの話題を続けた。
「そういえば、私たちこそ華子に感謝すべきです。以前、私が重傷を負った時、その情報を外部に漏らすことができず、やむを得ず和利に私の代わりに軍に戻ってもらいました。ちょうどクラブの交流会があった時に、華子が私たちのために隠れ蓑になってくれたおかげで、ばれずに済みました。」
「ずっと忙しくて、お礼を言う機会がありませんでした。今日この機会に、華子に一杯お酒を捧げて、私たちの感謝の気持ちを表したいと思います。」
後ろにいた亮平はすぐにグラスを佐々木光の手に渡した。
傍らの付添人たちも機転を利かせて、それぞれにグラスを配った。佐々木光と佐々木和利兄弟はグラスを掲げて二見華子に敬意を表し、二見奈津子と藤原美月も続いた。