天満姉妹も顔色を変え、黙って藤原美月を見つめていた。
藤原美月は腕を組み、思い切って本音を明かすことにした。実の母親に対して、彼女は知っていた。少しでも曖昧な態度を見せれば、それが隙となることを。
「井上和敏さんは井上家の舵取り役です。井上家の奥様になりたい人は、ここから月まで列ができるでしょう。彼が結婚を決めるころには、子供は中学生になっているかもしれません。西野さん、この世界はあなたの思い通りにはなりません。あなたがこれまで順風満帆だったからといって、何でも思い通りにできるわけではありません。申し訳ありませんが、この件は私にはお力になれません」
望美は藤原美月の言葉の皮肉に全く気にせず、不満げに言った。「あなたったら、どうして他人の気勢を上げて、身内の威厳を下げるの?私がそんなことを知らないと思う?」