452 拒絶

天満姉妹も顔色を変え、黙って藤原美月を見つめていた。

藤原美月は腕を組み、思い切って本音を明かすことにした。実の母親に対して、彼女は知っていた。少しでも曖昧な態度を見せれば、それが隙となることを。

「井上和敏さんは井上家の舵取り役です。井上家の奥様になりたい人は、ここから月まで列ができるでしょう。彼が結婚を決めるころには、子供は中学生になっているかもしれません。西野さん、この世界はあなたの思い通りにはなりません。あなたがこれまで順風満帆だったからといって、何でも思い通りにできるわけではありません。申し訳ありませんが、この件は私にはお力になれません」

望美は藤原美月の言葉の皮肉に全く気にせず、不満げに言った。「あなたったら、どうして他人の気勢を上げて、身内の威厳を下げるの?私がそんなことを知らないと思う?」

「井上和敏が結婚しないのは、信頼できる人がいないからよ!考えてみなさい、彼の今日の成功を考えれば、適当な女性と結婚できるわけないでしょう?」

「家柄や身分は重要じゃない、彼が求めているのは誠実な女性よ!でも彼に近づく女性は十人中十人が不純な動機を持っている!彼が受け入れられないのは当然でしょう!」

「美月、聞いて!彼には、あなたのような身内からの紹介が必要なの。彼はとても忙しいから、いちいち相手を見極める時間を省きたいのよ。だから、これはあなたの二人の姉にとって最高のチャンスなの!あなたが保証すれば、彼も安心してあなたの姉たちを受け入れられるわ!」

望美の目は金色に輝いていた!

藤原美月は思わず笑った。「他人の動機が不純だと言いながら、あなたたちの目的も同じではないですか?」

望美は軽く藤原美月の腕を叩いた。「あなたったら!私たちが同じだなんて言えるの?私たちは親戚よ、外のあの女たちとは違うわ!身内で収めるべきことよ!」

藤原美月は軽くため息をついた。道理というものは、準備万端でやってきたこの家族の前では何の意味もなく、口論する価値もなかった。

彼女は席を立った。「申し訳ありませんが、この件は私にはお力になれません。そんな能力はありません」

天満昌次郎が立ち上がり、急いで言った。「妹さんは私たちが井上さんに相応しくないと思っているのですか?」

藤原美月は切実な表情の天満昌次郎を見つめたが、何も言わなかった。